「君って、冷たい人だよね。」


寒空の下、旧知の同級生達がそこここで話をしている輪の端で、
15年ぶりにあった知人と二人で会話。
近況を簡単に話したと思ったら、笑顔で急にこんな風に切り出された。


否定する余地も無いので「うん、よく言われる」なんて応じていたら、次の一言。


「でも、やさしいよね。」


フォローしてくれたんだかどうかよく分からないけど、
何と返したら良いのか分からなくなってとりあえず苦笑い。
今、冷静になって思い返すと、"冷たく"て"やさしい"って矛盾してる気がするね。



「また、私のことバカだと思ってるでしょ?」


なんて素敵な笑顔で言われて、俺、どんなリアクション返したろうか。
頭の中では『俺、そんな失礼なこと考えてたかなあ』とか
『そんなこと口にしてたかな、ひょっとして』なんて思いつつ、
とにかくしどろもどろになってた気がするけど。
別に15年も前のことが、つい先刻のように思い浮かぶとか、そんな事は全く無く。


風の噂でもう結婚したなんて話を聞いていたので、
「そういや名字変わったの?」って尋ねたら


「うん、変わったよ。君は名字変わったの?」


なんて逆に質問を返されて大混乱です。
『結婚しても男が名字変わるケースあまりないんじゃないのか』とか、
『いやまあニュアンスは伝わるのかいいのか』とか色々と頭を過ぎったけれど、
まともに返答できたかな。混乱しすぎて覚えてません。
普段はもうちょっと口が回る気がするんだけどな。


「でも君は名字変わらないほうが、いいよ。うん。」


確か話の結びにそう言われた気がします。どういう意味だよ、それは(笑)
そういや今の名字、結局、聞けなかったな。
でも彼女は、今、とても幸せなんだろうなと思いました。
笑顔が昔よりずっと素敵だったしね。



悲しい出来事があって帰郷したんですが、
思いがけない再会もあったりでなんだか混乱でいっぱいです。
とりあえず楽しかったことだけ書き残して置こうと思います。