水の都の王女

信じても信じなくてもいいが、わたしも子供のころ英雄の歌を聞いた。
初めはそれが大好きになって、イル・アントゥやルトカのような偉大な英雄になった自分を想像した。
だが、大きくなるにつれて自分というものがわかった。絶対に英雄になれないことが。
英雄はいつも人間なんだ。

水の都の王女〈上〉 (ハヤカワ文庫FT)水の都の王女〈下〉 (ハヤカワ文庫FT)
異文化交流、それすなわちファンタジーの華。


J・グレゴリィ・キイズ/岩原明子・訳。ハヤカワ文庫。
多数の神々とそれを信仰する部族の青年"ペルカル"。
多数の神々を飲み込む大河の神を唯一神として仰ぐ王国の姫君"へジ"。
神々の思惑により出会うことになる二人と、その二人に巻き込まれる仲間たちの物語。


久しぶりに胸躍るファンタジーに出会いました。今年一番だなあ。
ありがとう萌え分かりファンタジーガイド(笑)
とにかく何もかも素敵過ぎるんですが、神という存在に相対する各文化圏による接し方の違いは、
この物語の白眉な点なんじゃないでしょうか。
個人的には英雄の友人"ヌガンガタ"に痺れっぱなしです。
"WaterBorn"を"水の都の王女"と訳したセンスも含めて心から絶賛。
続編の"神住む森の勇者"をワクワクしつつ読んでおります。


絶版ですがAMAZONで一冊1円、全四冊買っても10円くらいでなんとかなるこの悲しさ。
復刊した折には*1新品買うことにしよっと。

*1:するかなあ・・・