ふたりの証拠

「私も、リュカのことを人に話すと、信じてもらえなかったのですよ。
 可笑しいですね、そう思いませんか?」
「いや、あんまり思いませんな。こちらへどうぞ、あそこに坐りましょう」

アゴタ・クリストフ著。ハヤカワepi文庫。
悪童日記の続編。国境を越えていった双子の兄・クラウスを見送った
リュカの、故国での生活を描いた作品。
日記形式だった前作と異なり、客観的な視点から描かれた物語で描き出されるのは
悪童日記ではあれほど強く見えたはずの主人公の弱さ。切ない…
"神童も二十過ぎればただの人"を地で行くような。ぐすん。


それ以上に衝撃のこのオチに意気消沈しつつ、完結編「第三の嘘」を読むことにします。