悪役レスラーは笑う −「卑劣なジャップ」グレート東郷−
そこで僕らは目撃する。
ただの勝ち負けや技のやりとりではなく、ふとした瞬間に垣間見える、
そのレスラーの内面と、彼が背負う人生を。
森達也・著。岩波新書。
森達也meetsプロレスという、まるで夢のような一冊。
プロレスを題材に、例によって主観でしかありえないというドキュメンタリーを、
そしてアメリカにいた卑劣なジャップの生き方に見え隠れする
日本と中国、韓国、朝鮮、アメリカの不思議な関係を描いた一冊。
「何故?」の疑問を繰り返し進むストーリーは、相変わらずの心地良さ。
惜しむらくは映像でみたかったなあと。
読んでみて驚いたのは、想像以上にプロレスの魅力をストレートに語ってくれた所。
プロレスの面白さをここまで描いた作品が、日本で作られたのは珍しいのでは。
ともあれ、森達也が週刊ファイトに就職出来なくてホント良かったと思いました。
だって「永久電気の実用化にメド」なんて一面に載せる新聞だもんなあ。
ありがとう井上義啓編集長。