便りのないのは元気な証拠なんてことはちっとも無くて。
ろくでもない死にかたなので葬式も知らされず、
とりあえずアパートに行ってみたらやっぱり誰もいなかったよ。


10年もつるんでるんだから、最後くらい殊勝に泣きついてみろよ
なんて思いもしたけど、お前らしいといえばらしいのか。
思えば一年浪人して受験したときに泊まってたのも、
最後に札幌を去るとき泊まってたのも、このアパートで。


お前ちっともコーヒー飲まないから
俺が個人的に置いておいたインスタントコーヒーの瓶とか、
引越しの合間に預かってもらってそのまま放置した荷物とか、
どうなってるんだろうなとか思い出してみたり。


あわてて探しても写真もメールも何も残ってねーわ。
「今から遊びいくわ」「あいよ」とか
「今からちょっと来い」「あほか」とか
そんなやり取りしかしてなかったもんなあ。


会ってからずっと真面目な話なんてこれっぽっちもしたことなくて、
延々と適当なネタ話・笑い話だけしてた気がするわ。
俺らが何にも変わらなくても世界は動いているから、
面白いネタはずっとつきないと、そう思ってたんだけどな。
死ぬほどつまらなかったか、この世界は。見解の相違だなあ。


ただ、お前に言えなかった言葉とか言わなかった言葉なんて、
俺には何にもないよ。それだけは間違いない。
返しそびれた恩は山ほどあるんだけどなあ。
だから、今、言いたい言葉があるとしたら…"ありがとう"かな。


ありがとう。