リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン

「リック、カーテンをくぐって入場して、
 鳥肌が立たなくなったら、もう二度とリングに登場する必要は無い」

"To be 'The Man',you gotta beat the man!"


“野生児”“業界標準”“狂乱の貴公子”…数々の二つ名で形容される
アメリカンプロレス界の生ける伝説」リック・フレアーの自伝。
彼の30年以上に渡って現在進行形で続くそのキャリアを克明に綴る一冊。
新日本プロレス北朝鮮興業の感想とかあって笑えました。



女どもから唇を奪い、常に全力を尽くし、リムジンを乗り回し、ジェット機で飛び回る…
自身の決め台詞を地で行くチャンピオンとしての日々は素直に驚けます。
そんな人生プロレスラーが語る、それほど面白くないリング裏での陰謀渦巻く世界*1
そして、途端に生き生きと語りだすリング上でのレスラーとしての試合の数々。


晩年(?)、そんなフレアーの前にあったのは現在の彼からは考えつかない日々。
レスラーとしての栄光を極めた先に待っていた挫折の連続に苦悩するリック。
老いぼれとして扱われ、自尊心を打ち砕かれ、リング上で闘う自信すら失った彼が向かう先、
…そこはやはりリングの上。


かつて16度の世界チャンピオンの座についたフレアーに訪れる再度の世界戦の機会。
2003年5月17日のRAW。対峙するトリプルHとの試合は、まさしくこの本のクライマックス。
リングから場外へと落ちるトリプルHに見えるハーリー・レイス*2のテクニック。
トリプルHへとリック・フレアーが見舞うテリー・ファンク*3から盗んだ技。
わずか15分に凝縮されてリング上で繰り広げられるプロレス30年史。
そこにあるのは、過去の偉大なレスラーに対する尊敬と、未来へと受け継がれる技術の蓄積。
リック・フレアーが最後に辿り着いた境地…それは、この本で確認して下さいませ。



アメリカンプロレスの事が知りたければリック・フレアーを見たらいいと思います。
多分、そこにはアメリカンプロレスの歴史が、少なくともその一面が息づいています。

*1:本当にあまり面白くない記述が多かったり

*2:男の中の男だよ

*3:テキサスの荒馬だね