ローズ・トゥ・ロード サプリメント3 〜忘却の呪縛、近付く頃〜

或る者は 自分が何者かを忘れて
また或る者は 拭い去れぬ思い出の声に
ただ茫洋と 空を眺めることしかできない


そう 終わりは来る 終わりは必ず来る

15時頃にid:coyoteD20さんから
ローズ・トゥ・ロード(以下、RtoL)のゲームマスター・スクリーンが入荷しました」とのメールが。
なんでも、入荷したら連絡入れてくれるようお願いしておいたとのこと。
なんとなく敗北感を感じつつ、連れ立って買いに行く獣達の挽歌。
店について開口一番「すいません。予約してたcoyoteですけど…」
とか言い出したのを聞いて、さらに敗北感を感じる獣。
その後、中身を見つつ適当話。


RtoL基本ルールブック発売日に、既に店頭に並んでいるとの噂を聞いて、
予約していたAMAZONから本が届くのが待ちきれずに、
徹夜明け朝一で本屋に買いに行ったことを思い出し(その日の昼過ぎに届いた)。
その時も、たまたま、coyoteさんと中身を見つつ適当話をしたなあ、と。
あれから2年か。ルールブック一冊、coyoteさんに押し付けたんだよなあ…。
以下、雑感。思い入れの分、やや長め。


・はじめに
今回は、イエローサブマリン札幌店に10部も入荷しており。
サプリメント1・2は3部づつしか入荷せず、私と友人と先輩が買うと売り切れになってしまい…
本当に心苦しかったんです。良かった良かった。


・マスタースクリーン
ルールブックに散逸していた表が綺麗にまとまっています。
そうです。本当は、こんなに簡単なルールだったのです。
これからRtoLのGMをしようという場合は、まずこれを見るべきですね。
目標値の目安は、友人と大笑いし。目から鱗だ。
「作業ってのは、成長したPCに合わせてどんどん困難になるんですか?」
「違う!成長したPCに与えられるべき試練は、より難しいものだけだ…ってことだよ」などと解釈。


スクリーン真ん中に大きく描かれた“頂の”エスティリオ*1にやや驚き。
「最もマスタースクリーンが美しい国RPGはRtoLだ!」と主張するも、
「最近マスタースクリーン出るRPG無いじゃないですか」とのつれない答えが。
そういやそだね。


・小冊子
付属小冊子には、基本ルールの頃よりも後の時代
『忘却の呪縛、近付く頃』のキャラクター作成ルールが紹介されています。
この作成ルールの特徴は、「具体的」であることです。
表を振ることで決定するキャラクターの種族/出身地ごとに、
「他種族や魔法に対する印象」「その者が旅立ちに誘われる例」が示されています。
ロールプレイの指針としても役立つことでしょう。


RtoLシリーズの特徴として、断片的な世界観の提示というものがあります。
詩や歌などで断片的にキーワードを提示することで想像力を喚起するというもので。
例えば、旧作ファー・ローズ・トゥ・ロードでは『経験表・散策表』を用意することで、
私達に世界を感じさせてくれました。


本作では、それをキャラクターメイキングのデータで行おうとしているのかなあ、と。
ルールブックのワールドパートに興味を持った方は、是非、目を通して下さい。
ローズじいさん的には、非常に読み応えがある冊子だと思います。満足。


・このサプリメントにないもの
固有名詞の説明と新しいキャラクターシート
この多数の固有名詞で彩られた紙面を見る度に、初めて遊んだ人は
どう感じるんだろうなあ、と心配になります。どうなんでしょうかね?
キャラクターシートは、新しいバージョンをサプリメントでちゃんと
紹介して欲しいなあと思うローズじいさん。


・おわりに
実は、初めて新しいRtoLのルールブックを見たときは、軽い失望を感じました。
恥ずかしながら、宴会で初めて会ったローズ好きの先輩に絡むほどに(恥)。その節は失礼しました。


あれから2年経ちました。
次々と出される魅力的なサポート群や、後輩達が遊ぶRtoLのセッションを見て、
材料は十二分に用意されていたんだなと思う次第です。私が気付かなかっただけで。
今は、シリーズの中でこの新しいRtoLが一番好きです。


さて、この新しいRtoLでは、サプリメントや雑誌連載で
一貫して「忘却の呪縛」という避けられぬ災厄へと向かう世界を描いています。
全てが忘れ去られてしまわないように魔法ともに思い出を紡ぐタトゥーノ=メノン*2
そして忘却の呪縛の下で緩やかに想い出を抱き続けることが出来る龍人の現出*3
かつて“明るさに満ちていた”と評された*4この時代も、
実際生きている人々にとっては、かなり過酷だったようです。


で、一RPGゲーマーとしてはきっちりと作品で
世界の終わり、「忘却の呪縛」の災厄を描いて欲しいなあと思う所でして。
国産RPGで背景世界が時と共に移ろい、キチンと終わることはあまり記憶にありません。
TORG」や「World of Darkness」シリーズなどでは、世界の終わりを
キャンペーン・シナリオで描いたと聞きます。
スターレジェンド」では地球帰還シナリオの発売を予定しているそうですね(期待)。
「大旗戦争*5」も、綺麗な終わりだったと思います。
でも、終わりがあるから、新しい始まりがあるんだよなあ、と。


このRtoLでも最後に“終わり”が見たいなあという感想で、長々とした雑感を終わります。
小林正親さん、想像もつかないような終わりを期待しちゃいます(笑)
いや、雑誌連載は末永く続いて欲しいんですけど(自己矛盾)。


http://www.arclight.co.jp/r_r/rtol-tuhan.html

*1:ロール&ロールvol.5 P.138 編集部通信より。ユルセルームの偉い人です

*2:サプリメント2『タトゥーノ〜“風に絵を描く”かりそめの魔法〜』より。早く買わないと在庫が無くなるとの噂

*3:サプリメント3『ゲームマスター・スクリーン〜忘却の呪縛、近付く頃〜』より。つまり、ここで紹介してるサプリメントですね

*4:RPGマガジン誌『ユルセルームは遠くない』より。RtoLシリーズの遊び方ガイドとしては白眉の出来

*5:ファー・ローズ・トゥ・ロード サプリメントNo.5。最後にウォーシミュレーションに戻す所に、デザイナーの遊び心が感じられます。基本ルールも付いていてややお得。カードが付いて無くて、これだけでは遊べないんですけど